マンション管理費等の滞納と、裁判での将来請求

マンション管理費等の滞納と、裁判での将来請求

管理費等の「将来」請求とは?

 管理費等の滞納があった場合、それがある程度たまってくれば、管理組合が原告となって、滞納管理費等を請求する裁判を起こすことが必要です。
 この点、通常、裁判においては、「現在までに、いくら滞納しているか」を確定させ、それについての支払を判決で命じることになりますが、それでは、裁判が終わった後に新たに発生した滞納分は対象外となってしまいます。
 そこで、判決の後において発生する分もいちいち裁判しなくて済むように、あらかじめ判決に盛り込んでおくのが「将来」請求という考え方です。

将来請求を行うメリット

①裁判を繰り返さなくてもよくなる
 ⇒判決後に滞納が続いたとしても、改めて裁判を起こす必要がなく、判決後から現在までの滞納分についても強制執行(差押え)が可能になります。
②裁判費用の節約
 ⇒何度も裁判を起こすと、そのたびに裁判所に納める手数料や弁護士費用などがかかりますが、将来請求を行うことによて、これらのコストを節約できます。
③心理的な圧力をかけられる
 ⇒将来発生する分も含めて差し押さえの対象になってしまうので、滞納者に対して、将来の支払に向けた強い圧力を与えることができます。

マンション管理費の将来請求に関する裁判例

 民事訴訟法135条に基づき、将来請求は、「あらかじめその請求をする必要がある場合に限り」提起できるとされています。
 この点、管理費等の滞納の場合、区分所有者である限り、毎月一定額の管理費等の支払義務が発生し続けることになりますが、滞納者は、すでに長期間滞納を続けており、いくら請求しても支払をしないわけですから、判決が出た後も自発的に支払う見込みは乏しく、あらかじめ請求しておく必要性があることになります。
 最近の裁判例(東京地裁令和5年12月27日判決)でも、「被告らは、平成18年9月頃から管理費等を滞納するようになり、平成25年11月から令和2年11月までの間は管理費等を支払ったこともあったが、同年12月以降、管理費等を支払っていない。上記事情からすれば、被告らが今後も管理費等を滞納する蓋然性は高いといえるから、原告には、あらかじめ管理費等の請求をする必要があるといえ、被告らが本件建物の区分所有者でなくなるまでの間の管理費等の支払を請求することができる。」として、将来請求を認めています。
 なお、裁判例では、将来請求を認める場合、「被告は、原告に対し、○年△月から被告が別紙物件目録記載の区分建物の区分所有権を喪失するに至るまで、毎月×日限り、月額○○円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年△△%の割合による金員を支払え」といったように、「区分所有権を喪失するに至るまで」(=売却などで手放すまで)という終期を設定した形の判決が出ています。

(2026年2月13日)